第30回東北脊椎外科研究会を終えて

令和2年1月25日(土)にフォレスト仙台にて令和初となる第30回東北脊椎外科研究会を開催させていただきました.年始のお忙しいなかにもかかわらず前夜祭は51名、研究会当日は117名の先生方にご参加いただき、盛会裏に終了することができました.これもひとえに皆様のご支援とご協力の賜物であり、心より御礼申し上げます.特に、大正富山医薬品株式会社のご支援をいただきましたことを深く感謝いたしております.

本研究会では「脊椎脊髄外科に関する臨床研究」と「治療成績不良例の検討」を主題説いたしました.私たちは、常に科学の一端を担う者として、医学の進歩に貢献しなければならないと考えます.また、臨床医学に携わる者として、患者を診て、治療をして、その後 の経過を見て評価して、治療法をまた考えるという、いわゆる PDCA サイクルを常に回していかねばなりません.この2点を具現化する表現型として、今回の主題を選びました.特に成績不良例の検討は、まさに、臨床研究の取りかかりとして、誰もができることと確信しています.この流れで、忙しい市中病院にありながら大学院生を指導し、臨床研究により学位研究を指導されている、私が敬愛する函館中央病院副院長の金山雅弘先生をお迎えし、特別講演「一般病院からアカデミックな脊椎臨床研究をめざして―骨粗鬆症性椎体骨折などを例に―」をご講演賜りました.金山先生は、忙しい市中病院にありながら大学院生を指導し、臨床研究により学位研究を指導されています.今後、会員の皆様が臨床研究を行う上での参考となる内容でした.

会の方はと申しますと、症例報告を含む合計45演題の発表があり、闊達な討論がなされました.どれもすばらしい内容でしたが、最優秀演題賞は、新潟大学 溝内龍樹先生の「三次元不等方性コントラスト法を併用した拡散MRIによる頚髄後索の変性の評価」(第20回以来、3回目の受賞!!)、若手優秀演題賞は、新潟大学 石川裕也先生の「片側椎間関節切除に固定術を併用しない胸椎砂時計腫摘出術の中長期成績:多施設研究」と、新潟大学のダブル受賞でした.溝内先生、石川先生、おめでとうございます.

結果的には、Covid-19感染が問題となる前の最後の東北脊椎外科研究会となりました.Covid-19が収束後は、それ以前と同じ型式が可能かどうか、現時点では全く予測不能です.今回が古き良き時代の最後の研究会かもしれませんが、今後の本会の発展を微力ながらもサポートできればと考えております.

末筆ではございますが、皆様の益々のご活躍とご健勝、そして今後の東北脊椎外科研究会の発展を祈念いたしまして、御礼の言葉に代えさせていただきます.

謹白

2020年 2月吉日

第30回東北脊椎外科研究会
会長 大谷 晃司
(福島県立医科大学 医療人育成・支援センター/医学部整形外科)

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